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石丸技術士事務所のブログ

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昆虫と人間と回路

以前、蚊を媒介とした感染症について調べているときに「昆虫ミメティクス」という本を見つけました。

このハンドブッックは「昆虫の生きる仕組み」を解説したものである。その目的は、「昆虫の生きる仕組み(構造と機能)」を、「動作原理説明書」や「性能仕様書」、できれば「設計図」として、工学系の方々に提供することである。

昆虫ミメティクス~昆虫の設計に学ぶ~
監修:下澤楯夫、針山孝彦

内容はまさに昆虫の動作原理説明書、設計図です。具体的には、昆虫について「デザイン」、「センサー」、「アクチュエータ」、「コントローラー」といった観点から詳しく解説されています。この本を読んでいると、昆虫は何かが設計した生き物たのだという以外に考えられなくなってきます。

この本によると、昆虫は血液とは別に体内に張り巡らされた中空の管があって、それを通して酸素が気体のまま直接体中に運ばれるのだそうです(人間の場合は血液が酸素も運ぶ)。このため、筋肉へのエネルギーの供給速度が非常に高いので高速飛行ができるのだとか。

test photo credit: Hoverfly (Ischiodon Scutellaris ?) via photopin (license)

昆虫と人間のちがい

人間の体は内骨格、昆虫は外骨格です。内骨格は、体の中に硬い骨をもち、表皮と骨の間に筋肉や内臓があります。それとは逆に、外骨格は一番外側に硬い殻があり、その内側に筋肉や内臓があります。外骨格の方が強度などの点で理にかなっている気もしますが、その代わりに昆虫は成長すると脱皮をして外骨格を大きくする必要があります。人間は内骨格なので、骨が成長しても柔らかい皮膚が伸びれば対応できます。また、昆虫は人間とちがって、成長のある地点で「さなぎ」になります。そして、「さなぎ」から羽化すると完全に容姿を変えてしまいます(ほとんど容姿が変わらない種類もいる)。あたらめて考えてみると、昆虫という生き物は本当に不思議です。どこかで「昆虫は地球外生物だ」といった説を聞いた気がしますが、本当にそうかもしれないという気にさせられます。

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photo credit: #CNiX.0387 via photopin (license)

シュミット・トリガ回路

昆虫ではありませんが、生物の機能を応用した電子回路がシュミット・トリガです。電子回路では、ある電圧レベルをしきい値として入力電圧を0か1の2値として扱います。シミュミット・トリガ回路は、0から1に遷移する場合のしきい値と、1から0に遷移する場合のしきい値が異なる回路で、ノイズ対策などに利用されています。これは、イカの神経パルス発生の仕組みをまねたものだそうです。具体的な例では、マイコンのクロック入力端子などでノイズ対策として使われています。私もカスタムIC(ASIC)を設計した時に使ったことがあります。

大人になると昆虫がこわい

子供のときは、クモの糸で作った網でセミを捕ったり、カブトムシを幼虫から育てたりしていました。でも大人になってからは、昆虫が少し怖いです。その理由をいろいろ考えたのですが、私の場合の結論はこうです。
子供の時は、昆虫を見ても単純にかっこいいとか、面白いとかという理由で遊んだり捕まえたりしていました。しかし、大人になると「昆虫はなぜ存在するのか?存在に何の意味があるのか?」といったように、そこに意味を見出そうとしてしまいます。例えば、昆虫ミメティクスを読んでも、何故こんな無駄のない仕組みになっているのかと考えてしまいます。そして、その思考の行き着く先は「なぜ人間は存在するのか?」、さらに「なぜ僕は存在するのか?」です。昆虫を見た一瞬に、そういった答えの見つからない思考を無意識に行ってしまいます。
これが、私が昆虫を見て少しこわくなる理由です。

ちなみに、大人になってから(エンジニアになってから)、高層ビルや飛行機、モノレールといった人工物も少しこわくなってしまいました。

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photo credit: Playa Potrero Road Trip via photopin (license)

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石丸技術士事務所: 石丸顕二(技術士 情報工学部門)

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