モモ

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「モモ」はミヒャエル・エンデ作の物語。サブタイトルは、”時間どろぼうと、ぬすまれた時間を人間にとりかえしてくれた女の子のふしぎな物語”。オリジナルはドイツ語で、1973年に出版された。エンデは1929年生まれなので、エンデが40代の時の作品ということになる。日本では、岩波少年文庫として出版されている。日本語訳は大島かおりさん。日本語版のページ数は約400ページだけれど、面白くて一気に読める。

「モモ」を読んで、「ネバーエンディング・ストーリー」の原作がミヒャエル・エンデの「はてしない物語」だと初めて知った。

物語の登場人物

モモの登場人物

モモの登場人物

モモ

10歳前後の女の子。この物語の主人公。屋外競技場に住み着いている。人の話を聞いてあげることが得意。

ジジ

観光ガイドが仕事の若者。物語を作るのが得意。

ベッポ

道路掃除が仕事。おじいさん。

街の子供達

野外競技場に集まってきて、モモといっしょにあそびを作り出して楽しんでいる。

灰色の男たち

人間ではないもの。時間貯蓄銀行の外交員を名乗り、人々から時間を奪い取ろうとする。人間の時間を盗んで生きている。葉巻で時間を補給していないと死んでしまう。

亀のカシオケイア

30分先の未来がわかる亀。甲羅に文字を表示することでモモと会話できる。時間の国へモモを案内する。

マイスター・ホラ

時間をつかさどり、人間に時間を配っている。「時間の国」の「どこにもない家」に住んでいる。

物語の構成

モモの物語は、3部に分かれている。

第1部 モモとその友達

モモと友達(ベッポ、ジジ、街の子供)たちの日常が描かれている。灰色の男たちが街の人々の時間を奪い取り始める前のお話。

第2部 灰色の男たち

灰色の男たちによる、街の人々の時間の搾取が始まる。異変に気付いたモモたちは、灰色の男たちの企みを大人たちに気付かせるための集会を開こうとする。しかし、集会には誰も集まらず、モモには灰色の男たちの危険が迫る。モモに灰色の男たちの危険が迫ったとき、亀のカシオケイアが表れてモモを時間の国に連れていく。ベッポやジジは、モモが突然消えてしまったので途方に暮れる。

第3部 時間の花

モモが時間の国から返ってくる。モモは、ジジとベッポを探して灰色の男たちから、人々の時間を取り戻そうとする。

灰色の男たちの手口

灰色の男たちは、人々からの時間の搾取をじゃまされないようにするには、モモから友達を遠ざければよいと考える。そのために、様々な手口を使う。

ジジの場合

ジジには、有名になり、金持ちになりたいという夢があった。灰色の男たちは、ジジを有名人にして秒刻みの忙しい毎日になるように仕向ける。ジジは、元々、金持ちになって良い暮らしをするために魂を売り渡すのはいやだ、と考えていたが、その信条に反する生活が始まる。

ベッポの場合

モモが灰色の男たちにつかまっていると思っていたベッポは、灰色の男たちについて知っていることを誰にもしゃべらないという約束を守れば、モモを返すという約束に応じてしまう。そのための身代金として時間の貯蓄を要求されたベッポは、一心不乱に掃除の仕事を行うようになる。ベッポは、元々丁寧に仕事をすることを信条としていたが、モモを返してくれるという約束を信じて、自分の信条に反する仕事をすることになる。

町の子供たちの場合

灰色の男たちは、想像力を必要としないおもちゃや遊びを街の子供たちに提供していく。子供たちは、楽しいと思ったり夢見ることを忘れていく。

無駄とは、時間とは

灰色の男たちは、人々に無駄をなくした極限まで効率的な人生を強いることで、時間を搾取しようとする。現代の社会でも、生活のために一心不乱に何も考えずに働かなくてはならない状況になる場合がある。モモを読んでいると、

  • そもそも無駄とは何なのか、無駄ではないものとは何なのか
  • 効率的とは誰が主体なのか

という疑問がどんどん大きくなっていく。「モモ」の中で、マイスター・ホラは時間について次のようにいう。

時間とは、いきるということ、そのものなのです。そして人のいのちは、心を住みかとしているのです。

モモの主な登場人物としては、モモ、ジジ、ベッポがいる。「モモ」を読むときの自分の年齢によって、感情移入する登場人物が変わってくるかも知れない。子供のときに「モモ」を読めば、モモと自分を重ね合わせるだろう。10代~20代であれば、夢見るジジに自分を重ね合わせるかもしれない。また、ある程度年齢を重ねた後であれば、ベッポに自分を重ね合わせるかもしれない。
「モモ」を大人になってから初めて読んだ人は、もしかすると灰色の男たちに感情移入するかもしれない。また、「灰色の男たちの何が問題なのかさっぱりわからない」という大人も多そうな気がする。

なぜなら、灰色の男たちがやっていることは、今の世の中そのもののような感じがするからだ。

ジジとモモの物語

第1章の「おおぜいのための物語と、ひとりだけのための物語」で、ジジが作る物語「魔法の鏡」がとても印象深い。この物語には、モモがお姫様、ジジが王子様として登場する。
モモ姫は、銀の大きな鏡を持っていて、それを毎日外の世界に送っている。人間は、この鏡を月だと思っている。空に浮かんだ鏡は、そこに映った人々や動物の影をモモ姫の所に集めている。モモ姫は、鏡が連れてきた影の人々や動物と暮らしていたが、ある日鏡に映っていたジジ王子を見て、どうしても実際に会ってみたくなる。

この物語は、ジジがモモのためだけにつくった物語だった。しかし、後に灰色の男たちによって、新しい物語を創造する暇もない程忙しい毎日を送るようになった時、ジジはモモのためだけにとっておいた物語を、新しく作った物語として世の中に発表せざる得なくなってしまう。このくだりは、読んでいてとてもせつない。

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