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石丸技術士事務所のブログ

技術

自動車の自動運転が普及した未来

2016/02/12

IEEE Spectrum 2016年2月号に「自動車の自動運転」についての記事が掲載されています。次のような内容です。

自動車の自動運転の問題は、技術だけではない。人が自動車の運転席に乗っている必要があるなど、自動運転に法律が追いついていない。

自動運転になっても事故は起こるだろうが、その場合、誰が責任を負うのか?いくら支払うのか?もし事故が起こると、設計欠陥の訴訟として扱われるだろうと法律家は考えている。これは、次の点でメーカーにとっては脅威だ。
・誰が勝っても裁判費用が高い。数億円になるだろう。
・裁判結果が予測できない。PL法でどう解釈するか。
・リコールの問題
・懲罰的損害賠償の問題

これらのリスクを考えると、メーカーの潜在的な法的コストは、人が運転する車より自動運転車の方が高い。自動車事故の損害額の中央値は160万円、一方、PL訴訟の場合は7,480万円(1ドル=100円として)。

このような訴訟の解決方法の一つは、人間の運転者とコンピュータの運転者を同じと考えることだ。事故の時の感情は関係なく、挙動のみが考慮される。例えば、コンピュータの運転者が赤信号を直進して起こした事故は、責任を問われるが、この場合は、人に課せられる損害賠償と同じ額がメーカーに課せられる。

自動運転の実現が急がれる理由の一つが人間のミスよる事故の多さだ。自動運転によって、アメリカでは毎年3万人の命が救われると推定される。また、年間500万件の事故と200万件の負傷者、70億リットルのオイルが節約できる。その他、事故によって廃棄される製品のコストや、その他関連するコストの節約も相当の金額になるだろう。

自動運転はタクシードライバーにも驚異だろう。あるタクシー運営会社は、自動運転によるドライバーの置き換えを検討している。
現在、車の95%は駐車場に止まっているという。つまり、5%しか稼働していない。自動運転とカーシェアリングで、必要な時だけ車を利用できれば、このような無駄はなくなる。車の販売会社にとっては驚異だろうが。また、自動運転は都市の設計を変えるだろう。それは、今の都市が、人間が運転する車を中心に設計されているからだ。
(Self-Driving Cars Will Be Ready Before Our Laws Are)

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photo credit: Melex 212 via photopin (license)

人間が運転する自動車と自動運転の自動車が共存する場合、考慮すべき点の一つが「すべての人間が規則を守って運転するとは限らない」ということでしょう。例えば、

  • 赤信号でも完全には停止しないで、青になるまで少しづつ前進する
  • 法定速度+10Km/hまではOK

といったようなマイ・ルール(もしくは暗黙のルール)で走っている人間が運転する自動車の中で、自動運転の自動車はどのように対処するのでしょうか。これらの車と同じ環境で自動運転の自動車が走行する場合、その車だけが規則を守ることは難しいでしょう。このような状況に置かれた場合、自動運転の自動車は法規をどのように判断するのでしょうか。

また、自動車の自動運転の普及によって、自分で運転しようとする人が減ると

  • 自動運転は免許不要なので、教習所はどうなるのか。
  • 自動車保険(のマーケット)はどうなるのか。
  • 車の所有数、販売台数はどうなるのか。
  • バスやタクシーはどうなるのか。

といったように、影響を受ける世の中の仕組みは計り知れません。

自動車の自動運転については、「自分で所有したい」という所有欲や「自分で運転を楽しみたい」と言った操縦する楽しみについても議論がありますが、個人的にはそのような欲求はあまりないので、自動車の自動運転は歓迎です。自動車を運転する目的は様々ですが、単に「ある地点からある地点への移動」といったパーソナルな目的であれば、今と同じ形態の自動車の自動運転でなくても良い気がします。できれば自動車ではなくて、小型モビリティのような新しい交通システムが普及する未来を望みたいです。
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photo credit: Toyota COMS single-person electric car via photopin (license)
しかし、このような交通システムがすべての人に受け入れられるとは思えません。自動車の自動運転や小型モビリティの普及は、退屈で魅力がないと感じる人もいるでしょう。自動車の自動運転が普及した結果、「歩道で爆走する(人間が操縦する)自転車」が増えなければよいのですが。

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石丸技術士事務所: 石丸顕二(技術士 情報工学部門)

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