パソコンやスマホ用のアプリケーションを作る場合、標準的なAPI(Application Programming Interface)を利用することがほとんどです。例えば、3Dコンピュータ・グラフィクスであれば、OpenGLやOpenGL ESといったAPIが利用されます。これらのAPIを利用すれば、ゼロからコンピュータ・グラフィクスをプログラムする手間が省けるからです。OpenGLやOpenGL ES、OpenCLといったAPIは、khronosで標準化や仕様策定が行われています。
APIを利用するコスト
OpenGLやOpenCLといった標準APIは、それを直接利用するユーザーは(ほとんどの場合)無償で利用できますが、メーカー側は”Conformance Test”と呼ばれるテストを行う必要があります。このテストを行うことで、ある製品がAPIに準拠しているかどうかが確認されます。また、このConformance Testを行わなければ、”XX準拠”といった表記やロゴを使用することができません。そして、Conformace Testは、お金がかかります。
Conformance Testの料金は、APIの種類やバージョンによって異なるようですが、およそ$10,000~$45,000の範囲となっています(Members価格の場合)。最新のVulkanという3D CG用APIの料金は、$45,000(Non-Memberは$60,000)のようです。1ドル100円とすると、Member料金でも450万円となり、それなりのコストがかかります。
Pay the Adopters Fee – https://www.khronos.org/conformance/adopters/
API準拠製品のリスト
Conformance Testをパスした製品は、khronosで公開されています。例えば、2016年に公表された製品の数は、次のようになっています(2016年6月現在)。
Conformance Products – https://www.khronos.org/conformance/adopters/conformant-products
これを見ると、最新のAPIであるVulkan準拠の製品開発が活発なことがわかります。Vulkanは、50以上の製品が既に公開されています。Conformance Testの料金を考えた場合、単純計算で$45,000×50=$2.25M=(約2.25億円)の金額が動いていることがわかります。
Vulkan仕様書のCredits
Vulkanの仕様書には、企業Creditsが記載されています。有名な企業ではARM, Intel, AMD, NVIDIA,Imagination TechnologiesといったCPUやGPUメーカーの名前が記載されていますが、それに加えてRed Hat,Oculus VR,Pixar,Lucasfilmといった企業も記載されている点が興味深い所です。
3D CG用APIとWebGL
3D CGアプリの開発は、iOSやAndroidといったOpenGL ESをサポートするOS用の開発キットが提供されるようになり、入手や開発が手軽に行えるようになりました。また、そのような開発キットを使わなくても、ブラウザだけで3D CGを扱えるWebGLでかなり本格的な3D CGを作れるようになりました。
(閲覧環境によっては表示されない場合があります。)
from https://threejs.org/examples/webgl_loader_svg.html
ただ、WebGLはデバッグがなかなか大変です。