太陽光エネルギー
代替エネルギーの一つが、太陽光発電です。地球の表面が1時間に受ける太陽光エネルギーは、人類の年間エネルギー消費量に相当するそうです(NEDO再生可能エネルギー技術白書http://www.nedo.go.jp/content/100544817.pdf)。そうであれば、電気料金はもう少し安くなっても良いんじゃないか、という疑問が頭から離れません。
Jack Kilby
ジャック・キルビーは、2000年にノーベル物理学賞を受賞した米国の技術者です。集積回路の特許で有名な人です。日本では、「サブマリン特許」というキーワードや、特許ライセンス訴訟の方が有名かもしれません。ジャック・キルビーは、テキサス・インスツルメンツ (TI)で働いていた時に集積回路の特許を考案したそうですが、TIでフルタイムとして働いていた期間は、わずか(?)12年間だそうです。
IEEE Spectrum: After the IC: Jack Kilby’s Solar Misadventure
IEEE Spectrumの記事によると、ジャック・キルビーは集積回路の特許後、ITで休暇を取り、独立した発明家になったそうです。その時に力を入れていたプロジェクトが「24時間電気を生成できる家庭用ソーラー・燃料電池システム」だったそうですが、1980年の原油の値下がりをきっかけに、失敗に終わっています。このプロジェクトが成功していれば、集積回路に匹敵する、またはそれ以上の成功を収めていたに違いありません。ちなみに、この時のソーラー・燃料電池システムは、臭化水素をソーラーパネルで水素と臭素に分離して貯蔵し、電気が必要になったら臭化水素に再化合するというものです。
米国では、かつて太陽光発電が栄えていた
太陽光発電は、実はかなり古くから存在し、米国では第二次世界大戦前にブームがあったそうです。
- 1900年当時の人はシャワーのお湯を太陽で沸かすことができた
- 電球より先に電気タクシーが存在した
- 1900年米国にあった車4192台のうち28%は電気自動車だった。
引用:意外と奥深い。アメリカでかつて栄えたソーラーが廃れた理由
意外と奥深い。アメリカでかつて栄えたソーラーが廃れた理由
その当時の技術がそのまま進化していれば、現在は太陽光発電が主流になっていそうなものですが、現実はそうなっていません。
代替エネルギーのプロジェクトとPDA
このような過去の事例を見ると、地球温暖化に関連した近年の代替エネルギーのプロジェクトが成功を収めるには、非常に多くの困難が伴うことが想像できます。しかし、昔チャレンジしてダメだったものは、何度やってもダメなのかというと、必ずしもそうとは言い切れません。例えばPDAです。今では持っていない人はほとんどいないスマートフォンは、以前はPDA(Personal Disital Assistant)と呼ばれていました。PDAの基本的な機能は、今のスマートフォンとあまり変わりません。PDAもちょっとしたブームは何度かありましたが、誰もが利用するほど一般化することはありませんでした。しかし、様々な企業がチャレンジを続け、スマートフォンと名前を変えたiPhoneの登場によって広く一般に普及しました。以前PDAを持っていた人は、誰もがPDA(スマホ)を所有する世の中など想像もしなかったでしょう。
同様に、現在は広く一般に普及しているとは言えない代替エネルギーも、様々な要因がうまく重なったタイミングで、エネルギーの主役になる可能性があるかも知れません。