“The Oxford Olympics Study 2016: Cost and Cost Overrun at the Games”という、オリンピックの費用超過に関する資料があります。
大会の費用超過
この資料によると、なんとすべてのオリンピックで例外なく費用超過が発生しているそうです。
• すべてのオリンピック: 平均して156%の費用超過(中央値は90%).
• 夏季オリンピック: 平均して176%の費用超過(中央値は83%).
• 冬季オリンピック: 平均して142%の費用超過(中央値は118%).The Oxford Olympics Study 2016: Cost and Cost Overrun at the Games
資料には、これまでのオリンピックで実際にかかった費用が表やグラフにまとめられています。中には、費用超過の資料自体が存在しないオリンピック大会もあるのだとか。
オリンピックの立候補ファイル
オリンピックの開催地に立候補する都市は、”Candidature Files”(立候補ファイル)という詳細プランをIOC(International Olympic Committee: 国際オリンピック委員会)に提出する必要があるそうです。
2020年東京オリンピックの立候補ファイルもウェブで観覧することができます。
大会予算
立候補ファイルの中でも興味深いのが、1巻54ページの大会組織委員会予算です。大会の収入と支出がまとめられています。
2012年 日本円 | 2012年 米ドル | 2020年 日本円 | 2020年 米ドル | |
収入 | 約3,013億円 | 約34億ドル | 約3,412億円 | 約34億ドル |
支出 | 約3,013億円 | 約34億ドル | 約3,412億円 | 約34億ドル |
予算はおよそ3,000億円程度と記載されています。収入と支出は完全一致です。支出の詳細を見ると、パラリンピック競技大会の支出が全体の5%ということがわかります。また、
- 平均インフレ率は年率1%
- 1ドル=88円(2012年)、1ドル=100円(2020年)
という前提条件も興味深い所です。立候補ファイルでは、円安で400億円程コストが増えるという予想になっています。
立候補ファイルの製作コスト
立候補ファイルは、3巻合わせて300ページほどのボリュームです。フルカラーでかなり立派です。立候補ファイルは、その製作コストも公開されています。
- 2020年招致の立候補ファイル策定経費: 約10億円
単純計算で、策定経費の10億円を立候補ファイルのページ数(約300)で割ると、1ページの金額は約30万円です。
さらに、前回2016年招致時の立候補ファイルの製作コストも公開されています。
- 2016年招致の立候補ファイル策定経費: 約20億円
2016年と比べて、2020年の立候補ファイルは半分のコストで策定されているのがわかります。
リファレンス
“The Oxford Olympics Study 2016: Cost and Cost Overrun at the Games”
2020年東京オリンピック立候補ファイル
2020年オリンピック・パラリンピック競技大会招致活動報告書
2016年招致活動報告書