「IntelがAltera買収で交渉中か」という興味深い記事を目にしました。
どうやらこの話は流れてしまったようです。
記事によると、Altera社の売上高では買収にあまりメリットがない、といったことが理由のようです。
売上高
Intel社とAltera社のIR情報(Form 10K)の売上高などを比較しました。また、個人的に気になる半導体企業の売上高も合わせて比較しました。
Intel社の売上高は6兆円規模(1ドル120円換算)、Altera社の売上高は2000億円台です。FPGA(Field Programmable Gate Array)メーカーはXilinx社とAltera社が2強です。両者の2014年度の売上高を比較すると、Xilinx社が約24億ドル(約2800億円)、Altera社が約19億ドル(約2300億円)です。
一方プロセッサ・メーカーの2強はIntel社とAMD社ですが、2014年度の売上高を比較すると、Intel社が約559億ドル(約6兆7000億円)、AMD社が約55億ドル(約6600億円)と、かなり開きがあります。プロセッサ・メーカー2社と比べると、FPGAメーカー2社の売上高は拮抗しています。
ARM社やImagination Technologies社は知名度の高いIPコアメーカーですが、売上高は実際にモノを作っている企業より少ないことがわかります。
売上総利益
AMD社の売上総利益が、売上高で下位のnVIDIA社より少ないのが目を引きます。
売上総利益率
2014年度では、Intel社,Xilinx社,Altera社の売上総利益率は60%台、nVIDIA社が50%台です。IPコアメーカーは売上総利益率さらに高く、Imagination Technologies社の利益率は約88%、ARM社は約95%です。これらと比較すると、AMD社の約33%は興味深い数字です。
プロセッサとFPGA
最近はFPGAを使ってデータセンターを高速化する事例を良く目にします。
2014年には「Intel社はFPGAとx86プロセッサを組み合わせて一つのパッケージに収めたデータセンター向けの製品を検討している」というニュースがありました。今回の買収交渉のニュースもそれに関連していたのかも知れません。Microsoft社もFPGAでbing検索エンジンを高速化したようです。情報処理学会ソフトウエアジャパン2015でもニコニコ動画をFPGAで高速化するという話がありました。
まとめ
個人的にはFPGAは半導体業界でかなりメジャーな存在になったと思っていたのですが、売上高の点ではまだまだトップと差があるということがわかりました。
最近のFPGAは、かなり強力なプロセッサを内蔵した製品も各社から販売され、利用用途が広がっています。データサーバーの事例のように、これから色々な分野でFPGAを使った差別化が進んでいくのかも知れません。
Xilinxの動向が気になります。