どろろ

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「どろろ」は、鬼神に肉体を奪われた主人公が、自分の体を取り戻すために鬼神を倒していくというお話。手塚治虫の漫画が原作。1960年代の少年誌に連載されていた漫画らしい。以前にもアニメ化されているが、今回見たのは、2019年版アニメの全24話。

主な登場人物

百鬼丸

生まれた直後、鬼神に頭蓋骨を残して体をすべて奪われる。百鬼丸の父親は、自分の名声と国の繁栄を得る代わりに望むものを何でも差し出すという取引を鬼神と交わした。その取引によって、百鬼丸は鬼神に体を奪われる。生まれつき体のない百鬼丸は、ある人物に体の足りない部分を人工的に作ってもらう。百鬼丸は、自分の体を取り戻すために、鬼神を探して倒していく。鬼神を倒すと、その鬼神が持っていた体の部分が百鬼丸戻ってくる。人々は「鬼神には勝てない、鬼神には従うしかない」という前提で生きているが、百鬼丸はそんなことは関係なく、鬼神だろうが何だろうが戦いを挑んでいく。

どろろ

見た目10歳前後の子供。百鬼丸と共に、鬼神を倒す旅を続けている。どろろの両親は、農民のために侍と戦う集団の頭だった。しかし、仲間の裏切りが原因で、どろろは両親と死別する。一人で生きていたある日、百鬼丸と出会い、共に鬼神を倒す旅を続けるようになる。両親が侍と戦うために残した財宝の場所を示す地図を持っていることから、両親を裏切った仲間に狙われる。

醍醐景光

百鬼丸の父親であり、醍醐の国の領主。自分の名前を天下に轟かせるため、また領土の繁栄のために鬼神と取引を行う。百鬼丸が生まれた直後、体を取られたことで、鬼神との取引が成立したことと、自分の名声と領土繁栄の未来を確信する。

多宝丸

百鬼丸の弟。小さい頃から、両親が何かを隠していると感じている。百鬼丸の事情を知った当初は、兄の体を犠牲にした国の繁栄に疑問を持つが、最終的には国の繁栄には誰かの犠牲が必要という醍醐景光の考えを受け入れ、百鬼丸が鬼神から体を取り戻すことを阻止しようとする。百鬼丸が取り戻す体が腕と目を残すのみとなった時、それらを取り戻させないために自ら百鬼丸と最後の戦いに臨む。

百鬼丸をとりまく人々

多くの登場人物は、手段を選ばず鬼神を倒して体を取り戻そうとする百鬼丸に心配を寄せる。その一方で、物語の大きな流れとしては、人間以上に人間らしい妖怪が存在することを暗示する回があったり、動物や昆虫を人の都合で殺しても良いのかと問うような回があったりと、見る側に判断を投げかけている。

戦国時代と現代

「どろろ」の登場人物が生きる時代は、領主が天下を取るために争いを続けている戦国時代。すべての行いは、国の為という理由があれば許される時代。農民は、戦の犠牲となって食うや食わずの生活が続き、時には死体から物や食料を取らなければ生きていけない人もいる過酷な時代。戦ですべてを奪われながらも、未来への希望を持って生きようとしている子供達とミオさんが侍に皆殺しにされる回は、見ていてつらかった。
現代も「どろろ」の物語の時代と本質的には何も変わっていないのではと思うことが多い。

最終回の醍醐景光

最終回の最後の最後、百鬼丸と醍醐景光のやりとりが最高だった。

百鬼丸:
「俺の行く道はそこじゃない」

醍醐景光:
「あの日わしがここで鬼神にすがらず、お前がこの国を継いでいたら・・」

醍醐景光は、鬼神と取引を行わなくても、百鬼丸の生きる力の中に、国の繁栄の可能性があったことに気付く。人生の最後に、「自分のこれまでの人生は間違っていたかもしれないと」気付かされる程残酷なことはないだろう。誰かに復讐する時、これ以上の復讐のやり方は世の中に存在しないのではないかと思う。

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