Imagination Technologies

Imagination Technologiesの全事業が売りに出されているそうです。

Imagination Technologies Group plc (LSE: IMG, “Imagination”, “the Group”) announces that over the last few weeks it has received interest from a number of parties for a potential acquisition of the whole Group.

Press Releases “Commencement of formal sale process for whole Group
https://www.imgtec.com/news/press-release/commencement-of-formal-sale-process-for-whole-group/

Imagination Technologiesは、Apple社のiPhone/iPad用に3Dグラフィクス表示部分(GPU: Graphics Processing Unit )の設計データを提供している会社です。Apple社は、今後はGPUを独自に開発することを発表しました。それをきっかけに、Imagination Technologiesは、全事業を売りに出すことを発表したようです。

Apple社によるGPUの自社開発
GPUと組込み機器
買うのはどこか
英Imaginationを中国資本のCanyon Bridgeが買収
Imagination Inside
1. MIPS Creator CI20
2. Dreamcast

Apple社によるGPUの自社開発

Apple社がGPUの自社開発に路線を変更する理由として推測されるのは

GPUの性能をもっと上げたいから。Imaginationの技術に不満があった。
GPUがコモディティ化したから。最新技術は不要。自社でやれば、コストダウンにつながる可能性がある。

といった所です。現在のスマートフォンは、画面表示能力が商品の魅力の大きな部分を占めています。しかし、パソコンの状況を見ればわかるように、画面表示の性能が一般向け商品のアピールポイントになる時代は、(ゲーム専用パソコンやAI用を除いて)かなり前に終わっています。その流れはスマートフォンも同様と感じていたため、Apple社がGPUを自社開発に切り替えることには、意外な印象があります。GPUは、言ってしまえば画面に絵を表示するだけの機能ですが、LSIの中で占める面積はCPUのよりも大きい場合があります。Apple社が、今後どのような独自機能をGPUに盛り込むのか興味深い所です。

GPUと組込み機器

普通に考えると、Imagination Technologiesを買収する企業は、

組み込み用のGPUのノウハウが欲しい
Imagination Technologiesが保有するMIPSプロセッサが欲しい

といった企業が考えられます。しかし、スマートフォンや家電のような組込み機器用のGPU技術を必要としている企業があるかと考えると、なかなか思いつきません。組込み機器は、一般的に高度な3Dグラフィクスを必要とするアプリケーションは多くありません。もし、どうしてもそのような処理が必要な場合は、パソコンなどで綺麗なCG画像を事前処理で用意し、その絵をパラパラマンガのように表示すれば実現できます。流行りのIoTでも、あえて消費電力を高めてまで3Dグラフィクスで画面表示に付加価値をつけるような用途はあまり思い浮かびません。

買うのはどこか

Imagination Technologiesを買収する企業としては、プロセッサ・メーカーが一番に思い浮かびます。Intel社やARM社は、既に自社でGPUを開発していますが、Imagination Technologiesが保有する知的財産に魅力を感じて買収を行う可能性があるかもしれません。しかし、一番可能性があるのは、GPUを自社開発すると発表したApple社のような気がします。