厚生年金保険の標準報酬月額の上限改定

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日本年金機構からお知らせが届いた。2020年9月1日より厚生年金保険の現在の標準報酬月額の上限が引き上げられるという。

日本年金機構からのお知らせ

日本年金機構からのお知らせ

https://www.nenkin.go.jp/oshirase/taisetu/2020/202007/072002.html

改定されると、これまでは月給62万円の人と月給65万円の人が給料から天引きされる厚生年金保険料は同額だったが、9月1日からは月給65万円の人は2,745円多く給料から天引きされることになる。具体的には、月給635,000円以上の人は、これまで56,730円が天引きされていたが、9月1日からは59,475円が天引きされる。事業者は天引き分と同額を負担するので、5,490円(2,745円x2)厚生年金保険料の支払いが増える。

この上限引き上げは、基本的に月給が635,000円未満の人には関係がない。また、基本的に月給が635,000円以上の人が所属しない事業者も関係がない。

どのような場合に上限の引き上げが行われるのかを調べてみた。

上限引き上げの根拠

厚生年金保険の標準報酬月額の引き上げのルールは、厚生年金保険法の20条2項に規定されている。標準報酬月額の上限は、全被保険者の標準報酬月額の平均額の概ね2倍となるように設定される。改定は政令で行われる。

(標準報酬月額)
第二十条
2 毎年三月三十一日における全被保険者の標準報酬月額を平均した額の百分の二百に相当する額が標準報酬月額等級の最高等級の標準報酬月額を超える場合において、その状態が継続すると認められるときは、その年の九月一日から、健康保険法(大正十一年法律第七十号)第四十条第一項に規定する標準報酬月額の等級区分を参酌して、政令で、当該最高等級の上に更に等級を加える標準報酬月額の等級区分の改定を行うことができる。

厚生労働省の資料によると、2019年3月末の全被保険者の平均標準報酬月は322,404円、その2倍は644,808円となっている。この平均額が、改定の根拠となっている。2018年3月末と2019年3月末を比べると、全被保険者の平均標準報酬月は2,304円増加している。

最近の3月末時点における標準報酬月額の平均の推移

最近の3月末時点における標準報酬月額の平均の推移

引用:現行の厚生年金保険法の規定に基づく標準報酬月額等級の改定について(報告事項)厚生労働省年金局 2019年10月30日
https://www.mhlw.go.jp/content/12601000/000561860.pdf

政令(内閣が制定する命令)は、次の内容が予定されているようだ。

厚生年金保険法の標準報酬月額の等級区分の改定等に関する政令案(仮称)の概要

標準報酬月額ごとの分布

厚生労働省の資料によると、厚生年金保険料を支払う対象者の95%が月額報酬の等級に当てはまるように調整されるらしい。確かに、資料を見ると現在の上限等級の対象者の割合が6.78%となっており、95%という規定に従えば調整が必要な状態であることがわかる。

標準報酬月額別被保険者数(平成29年度末現在)

標準報酬月額別被保険者数(平成29年度末現在)

引用:現行の厚生年金保険法の規定に基づく標準報酬月額等級の改定について(報告事項)厚生労働省年金局 2019年10月30日
https://www.mhlw.go.jp/content/12601000/000561860.pdf
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