2018年IEEE Computer Societyトップ10トレンド

IEEE Computer Societyが予想する2018年の技術トレンドは、次の10項目です。

  1. Deep learning(ディープラーニング)
  2. Digital currencies(電子マネー)
  3. Blockchain(ブロックチェーン)
  4. Industrial IoT(産業IoT)
  5. Robotics(ロボット工学)
  6. Assisted transportation(アシスト機能付き移動手段)
  7. Assisted reality and virtual reality (AR/VR)(アシストVR)
  8. Ethics, laws, and policies for privacy, security, and liability(プライバシーやセキュリティ、責任のための倫理、法律、方針)
  9. Accelerators and 3D(アクセラレータと3D) 10.Cybersecurity and AI(サイバーセキュリティとAI)

Top 10 Technology Trends for 2018: IEEE Computer Society Predicts the Future of Tech

選ばれたトレンド項目に、特に目新しいものはありません。一般的なニュースや業界紙で目にするキーワードです。 7.の"Assisted reality"は聞きなれない用語ですが、 作業を補助する情報を視界に重ねて表示するAR(シースルーのAR)を指しています。 8.のような、プライバシーやセキュリティのための倫理や法律がピックアップされている点が興味深いです。

9.のアクセラレータは、ディープラーニングやブロックチェーンなどに欠かせないものです。アクセラレータとしては、従来のFPGAやASICといったLSI技術以外にも、memristor-based DPE(メモリスタベースのDot Product Engine:内積エンジン)といった新しい技術への期待が紹介されています。

メモリスタ

メモリスタは、抵抗、キャパシタ(コンデンサ)、インダクタ(コイル)に続く、第4の受動回路素子と呼ばれています。 メモリスタは、NIST(アメリカ国立標準技術研究所)で以下のように説明されています。

Just as the ability of one nerve cell to signal another depends on how often the cells have communicated in the recent past, the resistance of a memristor depends on the amount of current that recently flowed through it. Moreover, a memristor retains that memory even when electrical power is switched off. "1つの神経細胞が別の細胞に信号を送る能力は、直近にどのくらいの頻度で伝達されたかに依存するが、それと同じように、メモリスタの抵抗は直近で通過した電流量に依存する。 さらに、電源を切ってもメモリスタはその情報を保存する。"

Thanks for the Memory: NIST Takes a Deep Look at Memristors

memristor-based DPE

メモリスタベースの内積エンジンは、アナログで内積の計算を行うハードウェア・アクセラレータを指します。

Generalize or Die: Operating Systems Supportfor Memristor-based Accelerators

内積とは、2つのベクトルから計算される値です。具体的には、2つのベクトルの各要素をそれぞれ掛け合わせて足した値です。内積は、2つのベクトルの向きを表します。3Dグラフィクスの分野では、物体のライティング計算に多用されます。

内積の計算

ディープラーニングでは、ニューラルネットワークの計算に用いられます。

LSIを差別化するもの

論理回路を集積するFPGAやASICは、ANDゲートやフリップ・フロップといったように、設計する部品が決まっています。このため、ある目的のために設計されるLSIは、誰が作っても最終的には同じものに行きつきます。つまり、誰が作ってもあまり性能の差がありません。メモリスタのように、新しい設計部品の要素が増えれば、LSIの設計に破壊的な技術革新が起こるかも知れません。そして、それらのLSIをアクセラレータとして利用する技術分野にも、破壊的な技術革新が起こるかも知れません。


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